BLOG

文書業務の「当たり前」を変える、「ドキュメントDX」とは? 2023.03.31

世の中全体でDX化が叫ばれ、様々な領域でデジタライゼーションやその先にある業務変革が進んでいます。しかしながら、多くのビジネスパーソンが日常的にかなりの時間を割いている文書業務においては、テクノロジーによって生産性を高められる要素が多くあるにもかかわらず、あまりDX化などが進んでいないのが実情です。

今まで当たり前と受け入れられてきた文書業務の非効率を解決していくために必要なのが「ドキュメントDX」です。本記事では、ドキュメントDXとは何か、どのような課題をどのように解決するものなのか、そして業務効率化の本質についてまとめました。

文書業務が変わる「ドキュメントDX」の定義とは?

「ドキュメントDX」とは、テクノロジーを用いて「これまでにない、新しい文書業務のやり方」を実現することと定義していまです。多くのビジネスパーソンが文書作成業務にかなりの時間を割いていますが、実は、その中には当たり前になり過ぎて認識すらされていない非効率が多く眠っています。

デジタル化と業務効率化が叫ばれて久しい昨今、文書作成にまつわる非効率を解消することは、真なる業務効率化に欠かせません。人が、人にしかできない仕事に集中するために必要なもの、それが「ドキュメントDX」なのです。

ドキュメントDXを実現するために解決すべき5つの変革ポイント

人が本来の業務に集中するために、どうすればドキュメントDXを実現できるのでしょうか。

米国を拠点とする世界的な調査会社IDCによる「Briging the Information Worker Productivity GAP」という調査の結果によると、日常業務のうち、文書業務に割かれている時間は、週に23.4時間とのことです。最も一般的な労働時間である1日8時間・週5日の労働をベースにして、週の労働時間全体を40時間として考えると、実に約60%もの時間を文書業務に費やしていることになります。

また、調査において時間がかかっている業務を分類すると、紙ベースであること、検索性、作成・編集に関わることなど、いくつかのドキュメントDXを阻む課題が見えてきます。

これらの課題は、これまで「当たり前」であると考えられ、多くの現場で慣例と化してきました。

しかし、ひとつひとつの課題は、テクノロジーによって圧倒的に効率化できます。

1.「紙ベース」を変える

いわゆるペーパーレス化を実現することです。従来紙でやりとりするのが当たり前だった文書を電子化し、データで管理すれば、オンラインで楽にやり取りできるようになります。コロナ禍を機に一気に普及した電子契約はその好例です。

紙に印刷し、ハンコを押し、郵送する。また、データ化したい場合はスキャンしてPDFにして…という一連の作業は地味に手間がかかるものです。しかし、これらの業務は、今や数クリックで済むものになりました。

つまり、文書を紙ではなくデータで作成し、やり取りし、保管することが、ドキュメントDX実現の第一の土台と言えるでしょう。

2. 文書検索を変える

新たに文書を作成するとき、ゼロからではなく何かを参考にして作成することの方が多いのではないでしょうか?

参考とする文書をどうやって探すのかと言えば、社内の共有フォルダを開き、それっぽいものをカチカチとクリックし、似たようなファイル名のものがずらっと並んだデータを一つひとつ開いて中を見ていく…。

どんな職場、どんな職種でも、これに近い作業が行われることが大半だと思います。
しかし、これらの無駄な作業が一切必要なくなり、頭に思い浮かべた「あの文書」がほぼ自動的に見つけられたらどんなに楽でしょう。

実はAIや自然言語処理の技術を使えば、そんな「楽」は実現可能です。

3. 編集の非効率を変える

だれしも、文書の内容を考えることにできるだけ多くの時間を使いたいはずです。それなのに、実際は表記揺れや誤字脱字のチェック、また複数の文書からコピペしてきたものの体裁をコツコツ直していく確認など、単純作業に多くの時間が取られてしまう…。これは、文書作成の現場で頻発している紛れもない現実です。

「この単純作業、どうにかならないものか…」と多くの方が感じている、地道な単純作業の自動化は、既に技術的に可能になっています。

4. コミュニケーションを変える

Aさんがコメントを入れたWordを添付してきたメールを受け取り、同じようにBさんからもメールを受け取り、それぞれを確認して、自身の手元データに修正点を集約・反映して、またAさんとBさんに確認のメールを送り…。

ときには、AさんはメールでWordを送ってきて、BさんはチャットツールでGoogleドキュメントのリンクを送ってきて…といった具合に、別々のコミュニケーションツールでデータが送られてくることもあるでしょう。

関係者が1人や2人であればまだ対応できますが、数が多くなると文書完成までの道のりは非常に煩雑でミスも増え、永遠に続くような錯覚を覚えることも…。

この問題は、文書編集やコメントのやり取りをオンラインで一元化して行えるようにすることで、簡単に効率化できます。いちいちメールやWordを開かずとも、1つのURLにアクセスし、やり取りと編集を進めれば、文書にまつわるコミュニケーションは思っている以上にシンプルにすることが可能です。

5. 文書管理を変える

毎日のように新たに生まれる文書をどう管理するのか、という点も重要な課題です。

同じ書類でも、フォルダの中にはバージョンごとに複数のファイルがあり、結局どれを最終版とすれば良いのかわかりにくい、間違えて上書き保存してしまってオリジナルデータが失われるというミスが、どの現場でも発生します。

皆で統一した運用をするために、フォルダやファイル名のルールを作っても守られず、逆に「面倒だから個人フォルダで管理」といった本末転倒なことになりかねません。

また、部署ごとのフォルダで管理していると、部署をまたぐ仕事の書類保存方法が不明瞭になるなど、結局ルールの徹底が難しいケースもあるでしょう。

これらの課題に対しては、1人1人が特に意識せずともファイルの最新版や履歴管理ができる仕組みと、フォルダ構造だけではなく文書情報(タグづけなどのメタデータ)を付与する管理方法があれば、より簡単に、正確な文書管理が可能になります。

文書業務にまつわる課題を解決!LAWGUEが提供するソリューションとは?

弊社が提供するクラウドドキュメントワークスペース「LAWGUE」は、文書作成にまつわる課題に対するソリューションを実装しています。

文書作成の課題のひとつひとつに、LAWGUEがどのようにアプローチし、ソリューションを提供できるのかについて、以下にご紹介します。

1.「紙ベース」を変える

ドキュメントDXの第一の土台は、書類の電子化です。

紙の書類をスキャンしてPDF化するだけであれば、複合型コピー機があれば済む話ですし、既に多くの職場で取り入れられ、実現している手法です。

LAWGUEが一線を画すのは、それらのPDFを取り込み、編集可能なデータとしてLAWGUE内に取り込み、保持・管理ができるという点です。

紙でしか残っていない過去書類、PDFで送られてきた相手型の雛型など様々な書類に対応が可能で、従来であれば編集したいと思ってもできない、または一から似た体裁に作成し直していた手間が不要になります。

紙の書類をスキャンしたPDFであっても、体裁のデータも含めて取り込めるため、他文書への再利用もしやすいところがポイントです。

2. 文書検索を変える

「たぶん、この辺かな?」、「このデータかな?」と当たりを付けて一つずつ開いて文書を探す無駄な時間をなくすためには、目的の文書を簡単に見つけられる仕組みが必要です。

LAWGUEを使って、類似検索や不足条項検索の機能を利用すれば、頭の中にある「あれ」をAIが自動的に提案してくれたり、類似度の高い文章一覧からパッと見つけ出せたりという環境を創出できます。

このようなことをLAWGUEが実現できるのは、LAWGUEが過去の文書をパーツに分解してデータベース化するという独自の思想で設計されており、かつ高性能なAI搭載の検索エンジンを備えているからです。

3. 編集の非効率を変える

次から次へと湧き出てくる細かい部分の修正は、重要な仕事であることに間違いはありませんが、単純作業であるが故になかなかツラいものです。そして、この単純作業の苦しさを改善することこそが、業務効率化を考えるうえで無視できない土台部分でもあります。

LAWGUEはAI搭載の高性能クラウドエディタとして、この編集の非効率に関しても解決を図っています。具体的には、体裁崩れの自動補正、表記揺れの自動検出機能を搭載しています。

4. コミュニケーションを変える

文書にまつわる複数者間での往復コミュニケーションの煩雑さは、クラウドツールを活用したコミュニケーションの一元化を以てすれば解決します。LAWGUEであれば、文書そのものはもちろん、文書に関連するレビューコメントなど、今まで散在しがちだった情報を一元管理することが可能です。

これまでは、「やり取りに文書が紐づいている」のが常識でしたが、LAWGUEを使うと「文書にやり取りが紐づく」という全く反対方向からのアプローチが可能。これにより、「文書」を起点としたズレの少ないコミュニケーションができるようになります。

また、このアプローチでは文書そのものはもちろん背景情報も一緒に一元管理できるため、ナレッジが蓄積されやすく、文書管理の本来の目的であるナレッジ活用もしやすくなります。

どの職場でも人が入れ替わるのは必然ですが、文書は動かずに残り続けます。だからこそ、コミュニケーションを文書に紐づけることで、ナレッジの蓄積と業務の属人化を防止できるのです。

5. 文書管理を変える

ひとつの文書に様々なバージョンがあることで発生する、「最終版がどれなのかわからない」、「既存のデータにうっかり上書きしてオリジナルデータが失われる」という問題点は、そもそもバージョンが発生しない管理方法が実現できれば解決します。

LAWGUEでは、変更履歴も含めてひとつのドキュメントとして捉え、いつでも過去の状態を確認・比較できるように保持します。最新版がどれなのかが常に明確にわかる状態で表示し、またそのように修正するに至ったプロセスを理由とともに辿ることが可能です。

さらに、フォルダ分けによる管理に加え、文書ごとにメタデータを付与することで様々な切り口で文書を管理でき、後からの検索もしやすくなります。

従来のように、一つひとつのフォルダを開いて見なくても、キーワード検索やタグ検索で必要な書類を見つけられ、経緯や知見を後からでも確認できる。文書管理でありながら、ナレッジ管理も同時に行えるというメリットがあります。また、蓄積されたナレッジを応用して、新しい文書に再利用できる仕組みがあることも特徴です。

ドキュメントDXを実現したイメージ

ドキュメントDXが実現されると、具体的に文書関連業務はどう変わるのでしょうか?実は、ドキュメントDXを進め、業務を変革していくには、段階を理解することが重要です。

1. 単純作業の効率化

ドキュメントDXを確実に進めるためには、紙を基準とした業務プロセスから、デジタルデータを中心とした業務プロセスへの転換が必要です。加えて高性能なエディタを導入し、瑣末な単純作業を効率化することも重要。こうすることで、効率化以前にそもそもやる必要すらなくなる業務も多くあります。結果として、徐々に日常業務の負荷が減り、さらなる効率化へと進む余白が生まれます。

2. ナレッジの蓄積

クラウドエディタとデータベースがセットになったツールを使うことで、文書を起点にナレッジが蓄積されていきます。

社内のやり取りごとデータベースに蓄積することで、背景事情や経緯が丸ごと蓄積され、後からでも振り返りやすい環境を創出することが可能です。

3. ナレッジの共有・利活用

ナレッジを蓄積できると、そのナレッジをいつでも共有、再利用できるようになり、文書の内容精査など、本来の業務に集中できるようになります。

新しい文書を作ろうと思った時、意識しなくても参考になる過去の文書を見つけられること、また、それらの過去文書から必要なパーツを持ってきて再利用できることは、なによりの時間短縮、業務効率化につながります。

文書の背景事情となる情報も含めて参考にできることで、今目の前にある状況と過去事例を比較したり、過去のベストプラクティスを理解したりしながら業務を遂行できる。これは、メンバーの教育や業務品質の向上など、広範囲に好影響をもたらすでしょう。

ドキュメントDX実現に近づく不動産企業のケース

ドキュメントDXが実現されると日々の業務はどのように変わるのか。より具体的に、都市開発を手がける不動産企業が新たな施設の企画を立ち上げるケースで考えてみましょう。

近しい企画において、過去にどういった企業がパートナーになってくれていたか、どのような座組、契約で進めたのかなど、契約書にはこういった情報が詰まっています。さらにレビューの履歴や背景などがコメントに残っていれば、より詳しく注意点などもわかります。

このノウハウを活用すれば、新たなプロジェクトで声をかけるべき企業やスムーズにプロジェクトを進めるためのポイントが、当時そこにいなかったメンバーでもわかります。

さらに、同じ文書を雛形として使ったり、個別の文章をパーツとして再利用することで、文書の新規作成にかかる手間も大幅に削減されるでしょう。もちろんその土台には、文書編集における煩雑な作業を自動化する高性能なエディタが欠かせません。

実際に、LAWGUEを活用している企業様には、このように過去文書をデータベース化して利活用できるようにしているケースが多くあります。

技術契約の蓄積を活かし、業務を効率化。テレワーク時代の人材育成にも活用|本田技研工業株式会社
「ナレッジの保管場所」としての活用~契約書のドラフト・レビューを効率化~|全薬工業株式会社
先行事例のデータベース化で安定した審査体制の構築と維持へ|尼崎市役所

ドキュメントDXの実現に向けた展望

ドキュメントDXには、まだまだ改善の余地があり、その分多くの可能性が残されています。

「文書作成を、再発明する。」

弊社が掲げているビジョンは、人々が「当たり前」と受け入れてきた慣習や非効率を根本から覆すことを意図しています。

「これまでにない、新しい文書業務の実現」に取り組むことで、無駄な作業を排し、特定の人の頭の中にしかなかったナレッジをドキュメント上に出し、蓄積し、さらには利活用するためのツールを開発することで、世の中に新しい価値を提供し続けたいと考えています。そして、プロダクトを磨いていくことで、人が有効に頭を使えるように支援をすることを目指しています。

AIがものすごい勢いで人の脳に追いついているからこそ、人が人にしか出せないバリューを出し続けるためのサポートをすることが、我々FRAIMの使命です。

最新記事

  • 記事がありません。

カテゴリー

最近の記事

  • 記事がありません。