株式会社東レリサーチセンター

締結済み契約書の検索にかかる時間を大幅短縮! 後継者へのナレッジシェアにも活用

INTERVIEWEE

平井 充 様

営業部門

「高度な技術で社会に貢献する」を理念に掲げ、半導体から、電池、有機・無機材料、医薬品まで幅広い領域を対象として、分析技術によって研究開発の課題解決を図る株式会社東レリサーチセンター。1978年に東レ株式会社の分析部門が独立する形で発足し、受託分析を主軸に事業を展開してきました。

同社に持ち込まれる分析サンプルは研究開発段階のトップシークレットにあたるため、業務委受託契約、秘密保持契約、共同研究契約など、日々多種多様な契約が交わされており、これに伴い多くの契約書レビューやリーガルチェックも必要となります。そこで同社は、約1年前にLAWGUEを導入し、契約業務の効率化を進めてきました。

今回は、同社の営業部門において法務を担当する平井氏に、LAWGUEの用途や導入効果について伺いました。

貴社の法務体制について教えてください。

当社には法務に特化した部署はなく、各部署に法務担当者が配置されている形です。私は営業部門に所属し、各種契約書のレビューやリーガルチェックを中心に担当しています。当社が年間に扱う分析の件数は1万件以上にのぼり、そのうち契約書が関わるものは約1000件。その約半数が法務担当者へ照会されるので、年間約500件の契約書をチェックしていることになります。

LAWGUE導入以前、契約書・文書作成関連業務においてどのような課題を抱えられていましたか?

契約書レビューを行う際、締結済みの類似契約書を探すのに時間がかかっていました。お客様との契約交渉は、現場の担当部署が行うので、最終的にどのような契約が締結されたのかを確認する必要がある場合、締結済みの契約書は紙媒体から電子化して既存の契約承認システムに保存していますが、同システムに備わっている検索機能が乏しく、また検索速度も遅く使いものにならなかったため、自分の記憶を頼りに作業を進めている状況でした。

契約書の修正作業にも課題がありました。表記ゆれを人の目で探すのには限界がありますし、参照条項がある場合には、条項を追加した際の修正や確認が大変です。Wordで体裁を統一することもできますが、どうしても作業が煩雑になってしまいます。また、担当部署から契約書の内容に関して照会があった場合には、加筆修正した個所ごとに、その背景や理由を説明するようにしていましたが、そうした作業も手間に感じていました。

そうした課題を解決するものとして、LAWGUEを導入されました。

当社では以前からロゼッタ社のAI自動翻訳エンジン「T-4OO」を導入しており、T-4OOとLAWGUEがコラボレーションをするという話を聞いたのがLAWGUEを知ったきっかけでした。

私は以前、テキストマイニングツールの導入に携わったことがあり、AIの自然言語処理能力の威力を実際に体験していたので、先述のような課題に対してAI契約レビュー支援システムが効果を発揮するという期待を持っていました。

AI契約レビュー支援システムとしては当初5社ほど候補がありました。各ベンダーに説明会を開いてもらい、実際に試験運用していくなかで当社の業務に適したものを検討していきました。その結果、専門性の高いツールよりも、文書自体を修正できる機能が豊富なLAWGUEを導入することが最も効果的と判断しました。

LAWGUE導入の決め手となったポイントを教えてください。

第一に高いレベルでセキュリティーが確保されていること。専門弁護士が作成した雛形の活用よりも、自社で保有する契約書などのデータを活用して、条文の確認作業の効率化を図れることのほうが当社にとっては重要でしたので、自社のナレッジを蓄積できるLAWGUEが適していました。登録する文書数に制限がなく、契約書以外の文書にも活用できることもポイントでした。

LAWGUE導入について、社内へはどのように説明されましたか。

システム導入を管理している部署には、先述のような契約書検索における課題について説明し、LAWGUEを導入することにより格段に速いスピードで契約書の確認作業が行えることを伝えました。また、LAWGUEのなかに契約書に関するデータを蓄積することで、契約内容の確認作業の属人化を防止でき、業務の引き継ぎがスムーズに行えるようになるメリットがあることも説明しました。LAWGUEの導入及び使用に係る費用は、当社が保有する分析装置の価格に比べると、それほど高価ではないこともあり、LAWGUEの導入に反対意見はありませんでした。

そもそも、当社は会社全体としてAIなどの最新技術を導入することに対して前向きです。当社のお客様は日々新しい技術を開発・活用されているので、自分たちもそうした姿勢を持つべきだという考えが社長を含め全社的にあります。

現在はどのようにLAWGUEを活用されていますか。

法務照会された契約書(WORD形式又はPDF形式)のデータをLAWGUEに移行し、活用しています。今は雛形案を含め300程度の代表的な契約書を読み込ませたところです。また、各種契約書はもちろん、ISO作業標準書など他の文書にも使えないか検討しています。

既存の契約承認システムとはどのように使い分けているのでしょうか。

現状、LAWGUEは社内における法務担当と現場とのやり取りのために用いており、既存の契約承認システムは契約書の保管管理のために用いるものとして、切り分けて利用しています。個人的には、今は既存のシステムを使うことなく契約書レビューを行うことができています。

LAWGUEの導入効果についてお聞かせください。

定量的に評価するのは難しいですが、既存の契約承認システムで過去の契約書を検索していた時期に比べると、検索にかける作業時間は圧倒的に削減できています。表記ゆれなどの体裁のチェックや修正もすぐにでき、内容確認する契約書には修正案の提示に1日以上を要するものが相当数含まれていることを考えると、かなりの効率化につながっています。お客様に対し契約書の修正案をすぐに返せるようになったぶん、お客様との交渉が有利に進むという効果もあるように思います。

LAWGUEの特に気に入っている機能があれば教えてください。

類似条項がレベル順に表示される機能、表記ゆれが自動で検出・ハイライトされる機能、変更履歴の差分表示機能などは気に入っています。Wordの変更履歴機能は、個人的には見づらいので利用していないのですが、LAWGUEは修正がそのまま反映され、後からハイライトで修正箇所がわかるようになっているため、非常に使いやすいです。

ただ、類似条項の提案や語句検索のレベルは、まだまだ向上の余地があると感じています。AIの能力が向上し、学習レベルが進むことで、会社の特徴や状況に適した条文が提案されるようになると、なお使いやすくなると思います。昨今のAI技術を持ってすれば、近い将来可能になるものと期待しています。

LAWGUEのサポート体制についてはいかがでしょうか。

機能改善も含めさまざまな要望を伝えていますが、こまめに対応していただいている印象です。当社では24時間以内の結果速報という超特急分析にも対応している機能があるので、迅速な製品のサポート体制はどうしても気になってしまいますが、LAWGUEの担当者の方からは、速やかにリアクションをいただけるなど、当社の意見をきちんと聞いてもらえているという感覚があります。

今後はどのようなことに取り組まれていく予定ですか。

社内人材の教育・指導なども行っているところですが、LAWGUEなどのITツールを活用し、これまで蓄積した契約業務のノウハウを後継者に伝えられるような環境の整備も進めていければと思っています。