株式会社オープンハウスグループ

ナレッジ共有で文書業務を効率化し、ワーク・ライフバランスを推進。事業に貢献する法務の実現に向けたリーガルテック導入

INTERVIEWEE

遠嶋 肇様、諸星 日加里 様

管理本部 法務部

総合不動産企業として知られるオープンハウスは、戸建関連事業、マンション事業、収益不動産事業に加え、近年では米国不動産事業も展開しています。事業拡大に伴い各部門で積極的にITツールの活用を進めているという同社は、法務部門においてLAWGUEを導入し、契約審査業務の効率化を進めています。多種多量の契約書を扱うなか、どのような形でLAWGUEを業務に活用しているのでしょうか。遠嶋様、諸星様に聞きました。

  

  1. 課題
    • 専門性の高さからナレッジが属人化しており、共有が難しい
    • ナレッジを人材育成へも活用したい
    • 参考にしたい過去文書を検索しても見つかりにくい
  2. 導入
    • 次世代へのナレッジシェアのため、自社ノウハウの蓄積しやすさを重視
    • シンプルだけど欲しい機能が揃っていたのがLAWGUE
    • 導入にかかる費用と労力が少ない点も魅力
  3. 効果
    • LAWGUEの活用によって、過去の契約書や雛形との比較がスムーズに
    • 契約書審査のスピードが明らかに向上
    • 取り込む文書の幅を広げ、さらなる業務効率化、ワークライフバランスの実現を目指す

活用のポイント

  • 検索機能をメインに、過去の契約書や雛形との比較で活用
  • 過去の文書や社内で用意している典型的な契約書の雛形、市販の雛形集、規程類をアップロードしてデータベースを構築

ナレッジが各担当者の「頭の中」にしか溜まらず、属人化してしまう

法務部の部員数や業務内容について教えてください。

遠嶋:法務部は3つのグループに分かれており、そこに10名のメンバーが所属しています。純粋な法務業務のほか、取締役会の運営、グループ企業の管理なども担っています。兼務をしているメンバーも多く、私自身も複数グループに所属しています。
諸星:私も法務と人事を兼務しています。人事では規程の改定業務なども行っています。

法務部では一月あたりどれくらいの契約書を扱われていますか?

遠嶋:だいたい60-70件程度をチェックしています。ただ、全社的に必ずしも契約書のリーガルチェックが義務付けられているわけではありません。部署によっては法務部を必ず通すというルールを決めているところもありますし、事業部側で処理しているところもあります。

特に不動産販売や土地仕入れ、建物購入などは基本的には定型文となるため、法務部を通さないケースが多いです。法務部は、たとえば、新規取引先との基本契約や業務提携契約、売買契約、営業やマーケティングに関わる契約など、新しい取り組みやイレギュラーな案件に関わっています。

LAWGUE導入以前、契約関連業務においてどのような課題を抱えていましたか?

遠嶋:ナレッジの共有に課題がありました。法務は専門性の高い職種であり、ナレッジは各メンバーの頭の中にそれぞれ入っています。このようなナレッジを体系化して共有できればいいのでしょうが、なかなかそういった時間は取れず、人材育成などにも活かせていませんでした。

また、過去の契約書を元に新たに作成したいときも、参考となるものを見つけ出すのが難しい。体系立ててファイルを保管できていなかったり、保管ルールが徹底されていなかったりと、やはり各メンバーの記憶と経験に頼っている状態でした。

契約書は以前どのように管理されていたのでしょうか。

遠嶋:当社はGoogle Workspaceを利用していますが、契約書のファイルサーバは別途用意されています。したがって、Google Workspace上でやりとりしたデータを、独自のファイルサーバに保存し直すという作業がありました。ただし、ファイルサーバは検索性が悪く、Gmailでのやりとりを検索して過去の案件やファイルを探している状況でした。

自社のナレッジを蓄積・活用しやすい。低コストながら欲しい機能が揃っていたのがLAWGUE

LAWGUEを知ったきっかけを教えてください。

遠嶋:実は2年ほど前からリーガルテックの導入を検討していました。他部門の業務システムにまで影響が及ぶ大掛かりなものから、AI契約審査ツール、契約書保管ツールまで、さまざまな製品を比較しました。そのなかの1つがLAWGUEだったというわけです。LAWGUEを知ったときには、シンプルだけど、これが一番我々が欲しかったものなのでは? という感覚がありましたね。

LAWGUE導入の決め手となったポイントを教えてください。

遠嶋:導入にかかる費用と労力を抑えられるという点が大きかったです。操作性がシンプルで、余計な機能がないことも魅力でした。

AI契約書審査などは高機能なツールもありましたが、当社では使いこなせないと感じました。たとえば、欠落条項などがAIによって提示されたとしても、それを採用すべきかどうかはキャリアのある人にしか判断できません。当社が抱えている課題は、次世代へのナレッジシェアです。AIによるレビューよりも、自社ならではのノウハウやナレッジを蓄積するほうが優先度は高いです。

また、契約審査にあたっては会社独自の方針もあるので、自社雛形を参照しながら契約書をレビューするLAWGUEのスタイルのほうが、当社にマッチしていました。

導入にあたってハードルになった点はありましたか。

遠嶋:社内説明の際、LAWGUEの導入によって作業時間がどれだけ減るのか、費用対効果について具体的な数値が求められました。ただ、トライアルの段階で詳細を見積もるのは難しかったので、同業他社での取り組みなどを紹介し、人員を増やすよりもコストを抑えられるという説明をしました。労働時間の削減は法務部にとって重要課題でしたので、何としてもLAWGUEを導入する必要がありました。

過去の契約書と比較しながらの審査で、明らかに業務スピードが向上。法務部の働き方改革にも貢献

現在の契約審査のフローを教えてください。

遠嶋:法律相談および契約審査の受付は、Googleフォームで行っています。その後はメールでやりとりを進めます。細かいところは電話でコミュニケーションを取るなど、ケースバイケースですね。審査はLAWGUEを用いて過去の契約書や雛形などと比較して行い、その成果物を依頼主に返します。電子契約や契約書の保管などは各事業部が担当しています。

導入されてまだ数ヶ月ですが、実際にLAWGUEを利用されてみていかがですか。

遠嶋:作業は明らかにはやくなりました。さまざまなノイズを削ぎ落とした文書をLAWGUEに取り込んでいるので、検索もスムーズです。

これからは、過去の文書をどうカテゴリ分けして蓄積していけるか、その選別方法が課題になります。ある程度系統立てて整理することはできますが、やはりさまざまな契約を扱っている以上、個別に考えなければならない案件も出てきます。そうした案件をどこまで取り込んでいくかは難しいところです。まずは、社内で用意している典型的な契約書の雛形や、市販の契約書の雛形集、規程類を取り入れて様子を見ています。

現在、法務部では働き方改革に取り組んでいますが、LAWGUEに取り込む文書のカテゴリを広げれば広げただけ、業務量が削減につながると期待しています。

LAWGUEにあったら良いと思う機能はありますか。

遠嶋:とにかく検索性にこだわっているので、単語を入力しただけで、完全一致ではなく可能性のある範囲で候補が上がってくるなど、より検索しやすくなると良いですね。

「法務の効率化」ではなく「事業への波及的効果」を実現したい

今後LAWGUEをどのように活用していきたいですか。

諸星:契約書の審査以外にも使えないかと検討しているところです。法務には、法務以外のビジネス文書を作成してほしいという依頼も多く寄せられます。このときに、LAWGUEで過去の文書を検索して、その中身をブロック単位で利用できるようになれば、よりスムーズに進められると考えています。プレスリリースの文章作成などにも使えるかもしれませんね。

遠嶋:先にお伝えしたように、当社の法務部は社内すべての契約書を拾いきれているわけではありません。そもそもあまり接点がないので、法務部に相談しようという発想にならない社員も多いと思います。

こうした状況を解消し、気軽に契約審査や法律相談を依頼してもらえる状況をつくって間口を広げていきたいと考えています。そして、そのための業務効率化や、事業部とのやりとりをスムーズにすることにLAWGUEを活用できると考えています。

こうして法務の実績が増え、事業部側に「法務部に相談したらビジネスがはやく進められるよ」「良い効果があるよ」と思ってもらえるようになれば、法務部の存在価値はより高まっていくと思っています。結果として、LAWGUEの効果も波及的に大きくなっていくはずです。

リーガルテックは「法務の業務を効率化する」という文脈で語られることも多いですが、それよりも「事業へ良い影響を与えられる」という視点で考えるほうが重要だと考えており、今回のLAWGUEの導入も、そういったところにつなげていきたいです。